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八千代メンタルクリニック
記憶の障害
記憶機能は、「記銘」、「保持」、「追想(あるいは想起)」の3段階から成り立つとされています。
「記銘」機能により覚え込み、「保持」機能で維持し、「追想」機能によって思い出すわけです。
コンピューターに例えれば、データの入力作業が「記銘」、ハードディスクなどにデータを保存しておくのが「保持」、データを検索して取り出すのが「追想」というわけです。
実際に確認できるのは「追想」だけですが、理念上は上記のように考えられています。

これに合わせて、記憶の障害は、大きく分けると記銘の障害と、追想の障害とに分けられます。

記銘力障害は、新しく物事を覚え込む能力の障害です。
正常者でも、疲れてボーっとしているときなどには記銘力が落ちます。
歳をとって、昔のことは良く覚えているけど、最近のことはなかなか覚えられないと言うのは、加齢に伴う生理的な記銘力低下です。
病的には、意識障害や痴呆の際に典型的に認められ、その他の精神障害でも、注意・集中力や意欲の失われているときに、記銘力の低下が生じます。

追想の障害には、「記憶増進(病的に亢進している)」、「記憶減退(病的に低下している)」、「記憶錯誤(事実とは違って変形された誤記憶、事実ではない偽記憶)」があります。
「記憶増進」は、てんかんの一種や催眠状態の時などに見られます。
「記憶錯誤」は、統合失調症やその他の精神障害の際に見られることがあります。
一般的に良く認められるのは、「記憶減退」です。
正常者でも、覚えているはずのことがなかなか思い出せない「ど忘れ」という形で良く経験します。
病的に、ある程度まとまった期間のことが思い出せないことを、「健忘(けんぼう)」と言います。
ある期間のことを全く思い出せないのを「全健忘(ぜんけんぼう)」、部分的にしか思い出せないのを「部分健忘」と言います。
「健忘」は意識障害に伴ってしばしば生じます。
意識障害の回復後に、意識障害の生じた時点以前の記憶が失われているのを、「逆行健忘(ぎゃっこうけんぼう)」と言います。
意識障害の回復後のある一定の期間の記憶がないものを、「前向健忘(ぜんこうけんぼう)」と言います。
意識障害の回復期に健忘がなく、しばらくしてから健忘の時期が出現するものを「後発健忘(こうはつけんぼう)」と言います。
記憶の障害の原因としては、全ての脳の障害(外傷、脳血管障害、脳炎、薬物中毒etc.)があげられます。(精神発達遅滞や痴呆ではほとんどの場合記憶の障害を伴います)
統合失調症やうつ病、その他の心因性の精神障害等でも記憶の障害を認めることがあります。
特殊な記憶障害としては、「全生活史健忘(または全般健忘)」や「一過性全健忘」と言ったものがあげられます。
「全生活史健忘」は、自分の名前も年齢も家族も覚えていないのに、日常生活は普通に出来る、いわゆる「記憶喪失」のことです。
「一過性全健忘」は、特に原因が見あたらず、意識障害もないのに、急に健忘が生じて、しかもそれが、24時間以内に回復するものです。
「記憶」に関する覚え書きもご参照下さい。
2005/05/31
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