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八千代メンタルクリニック

精神科で良くある疑問 1
精神科一般の疑問

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以下の回答は、八千代病院の精神科医 長谷川によるものです。
回答の内容は長谷川の判断によるもので、必ずしも病院全体の意見を反映したものではありません。

Q. 精神保健指定医って何?
Q. 精神科を受診するといくら位かかりますか?
Q. 治療を長く受けて金銭的に苦しいのですが・・・
Q. 母子家庭医療費助成制度を利用していますが、自立新医療制度も利用した方がよいのでしょうか?
Q. インターネット上で有用な精神科の情報を得る方法は?
Q. 電話やE-mailでの相談を受け付けてもらえるところがありますか?
Q. 精神科、神経科、心療内科等はどう違うのですか?
Q. 精神科医は、臨床心理士やカウンセラーとどう違うの?
Q. どこに精神科があるのかわからない
Q. 精神科へ行くのは、ちょっと抵抗があるんですが・・・
Q. 精神科の医者や心理の人と話をすると、心を読まれるようで怖い
Q. 保険証を使って精神科を受診すると会社にばれちゃう?
Q. 精神科に入院をするのは怖い。
Q. 患者の意志に反して入院させることがありますか?
Q. 精神科治療中の恋人との結婚で迷っている。
Q. 精神病は遺伝しますか?
Q. 精神病は完全に治りますか?
Q. 精神病になったら宗教に入れと誘われた。
Q. 親しい人が自殺したいという。
Q. 親しい人が自殺してしまった。
Q. 眠れない!
Q. ストレスがたまる。
Q. どうしたら精神科医になれますか?
Q. 精神保健福祉法について知りたい。
Q. 精神障害者保健福祉手帳のメリットは?
Q. 春になると精神的に不安定になるって本当?
Q. 知人が精神科に入院しているのですが面会できますか?
Q. 血液型と性格の関係は?
Q. 覚せい剤を使ったことがあるけど、精神科に行ったら通報される?
Q. 精神保健福祉士(PSW)って何?
Q. 精神病だと犯罪を行っても無罪なんですか?
Q. 「精神鑑定」って何?
Q. 「ストーカー」にはどう対処すべきでしょう?

Q.
精神保健指定医って何?
「精神保健指定医」というのは「精神保健福祉法」に基づいた国家資格です。

この資格を取得するには、おおざっぱに言って、
1. 医者としての経歴が5年以上
2. 精神科医としての経歴が3年以上
3. 所定の精神障害についての診療経験があること
(6疾患群について計8症例以上のケースレポートを提出する必要があります)
4. 所定の研修を受けること
(5年に一回の更新時には研修を受けないと失効します)
が必要です。
精神保健指定の資格を持っていれば、ある程度以上の経験のある精神科医であることがわかります(名医かどうかは別問題ですが・・・)。

精神科の実務の中には精神保健指定でなければ出来ないものが含まれており、精神科の病院には定まった人数以上の精神保健指定医が必要です。

また、外来の診療では、保険点数が精神保健指定医かどうかで異なるものがあります。
(初診時の通院精神療法は、精神保健指定医が診察した場合には、非指定医に比べて若干高くなります)

診療を受ける際には、精神保健指定医であるかどうかを確認することも大切なことかもしれません。

2002/07/30

Q.
精神科を受診するといくら位かかりますか?
これは簡単には説明できません。
料金は、保険の種類、初診か再診か、診療所か病院か、20才未満か20歳以上か、医師が精神保健指定医かそうでないか等によって異なります。
(初診時>再診時、診療所>病院、20才未満>20歳以上、精神保健指定医>非指定医となります)

精神科を初めて受診した場合、通常算定される費用は、初診料と通院精神療法です。
このほかに、検査や投薬の費用が別途かかります。

成人が精神科診療所を初めて受診し、精神保健指定医が30分以上診察した場合、上記費用は健康保険3割負担で自己負担は2310円です。
未成年の方の場合上記の値段は2910円となります。
これらに検査と投薬に伴う費用がかかります。
検査や投薬の費用は内容によりかなり幅があります。
新薬は一般的に高額です。

2回目以降の受診は上記よりもかなり安くなります。また、その月の受診回数毎に料金は異なります。
治療が長期にわたって金銭的に苦しいという場合には下記項目を参照してください。

条件によって費用はかなり違いますので、詳細は受診予定先の医療機関に問い合わせてください。

2002/05/28(2006/09/30一部改訂)

Q.
治療を長く受けて金銭的に苦しいのですが・・・
A.
精神障害により治療を受けている場合、以下のような制度を利用すると、経済的に楽になる可能性があります。
利用できそうな制度は活用しましょう。

1.自立支援医療(精神通院)制度。
精神障害で通院している場合、この手続きをとると自己負担額が減る可能性があります。
(ただし、病状や世帯の年収により異なります)
手続きは自治体によって異なりますので通院先の医療機関、または、市町村役場で相談して下さい。

2.精神保健福祉手帳。
日常生活・社会生活に一定以上の制約のある精神障害(一部の病名はのぞく)であれば、この手帳を取得できる可能性があります。
メリットはココを参照してください。
主治医と相談の上、市町村役場で手続きをして下さい。

3.障害年金
日常生活・社会生活に一定以上の制約のある精神障害(一部の病名はのぞく)であれば、一定の条件を満たす場合に年金の給付を受けられます。
国民年金であれば、市町村の国民年金課
厚生年金であれば、各社会保険事務所
共済年金であれば、各共済組合
に相談してみて下さい。

4.市町村の精神保健事業(医療費助成制度)
市町村によっては独自の助成制度を持っているところもあります。
入院医療費や外来医療費の自己負担分につき一部、または全部の助成が受けられる可能性があります。
各市町村で問い合わせてみた下さい。
千葉県の方は当院の千葉県内の市町村別医療費助成制度一覧を参照してみて下さい。
(千葉県以外の方は全国の医療費助成制度に情報があるかもしれません)
この制度ほど地域によって格差のあるものはありません。
さらに拡充されることを願います!

5.高額療養費制度
1か月の医療費が限度額を超えた場合、保険者に請求することで払い戻されます。
限度額は所得によって異なります。
同一世帯内の医療費を合算できる場合があります。
詳細は加入している健康保険の保険者へお問い合わせください。

6.生活保護
患者さんご本人もご家族も収入が限定され、生活が困難である場合、受給できる可能性があります。
市町村の福祉事務所に相談してみて下さい。

7.母子家庭医療費助成制度
母子家庭の場合、母子ともに医療費が助成される場合があります。
助成の対象・範囲は自治体によって大きく異なります。
次項も参照してください
問い合わせは住居地の市町村役場です。
入院で高額の医療費がかかる場合には、考慮する価値が十分あります。

ほかにも利用できる制度があるかもしれません。
困ったことはどんどんあちこちの役所にきいてみましょう。

2003/02/17(2006/09/30一部改訂)

Q.
母子家庭医療費助成制度を利用していますが、自立支援医療(精神通院)制度も利用した方がよいのでしょうか
母子家庭医療費助成制度は、母子家庭の母及び子が医療機関を受診した際の医療費(何科に受診しようとも)を補助する制度です。
この制度は、自治体ごとに大きく異なります。
助成の対象・範囲等がかなり違います。
ざっと調べたところ、違いは以下のような点です。
1. 世帯の所得に制限がある場合とない場合があります。
2. 対象となる養育者が、母親に限られる場合と、祖母でもOKだったり、父親でもよい場合があります。
3. 子供の年齢について、15歳未満、18歳未満、20歳未満、20歳未満で高校等在学中である場合等々、子供についての条件は非常に多彩です。
4. 助成の範囲に限度額のある場合とない場合があります。
つまり、窓口での自己負担がゼロの場合と、月々一定額以内を支払う必要のある場合があります。
5. 外来と入院とでは、対象・範囲等が異なる場合と同じ場合があります。
6. 窓口で無料となる場合と、領収書等で後から支払われる場合があります。
7. 6の後払いの場合、医療機関発行の証明書が必要な場合があります。
この証明書代は医療機関によって異なりますが、その費用も支給される場合とされない場合があります。

さて、それでは精神科の場合、自立支援医療申請とどちらが得なのでしょうか?
これは、自治体によって、また、受診する医療機関・治療の内容によって異なるので、十分検討する必要があります。
母子家庭医療費助成制度を利用することで、自己負担がゼロになっている場合には、自立支援医療制度を使用する必要はありません。
しかし、自己負担が生じる場合にはその額、また、証明書等が必要な場合にはその費用も考慮する必要があります。

制度の詳細につき千葉県の方は以下参照のこと
千葉県内ひとり親家庭等医療費助成制度一覧千葉県保険医協会

2005/12/19(2006/09/30一部改訂)

Q.
インターネット上で有用な精神科の情報を得る方法は?
インターネット上には無限の情報が流されており、有用な情報を見つけだすのは至難の業です。
情報の質も玉石混淆です。
公的機関・病院・クリニック・精神科医が発信している情報は、正確なことが多いですが、決して有用な情報ばかりとは限りません。
自称精神科医のホームページには、あやしげなものもあるので要注意です。
住所、氏名、電話番号などの責任の所在をはっきり示していることが一つの目安にはなろうかと思います。
匿名のホームページ開設者のサイトにも、有用かつ正確なものもあるので一概には言えませんが・・・

検索機能やリンク集を利用して出会った、ひとつだけのサイトの情報を鵜呑みにせず、いくつかのサイトの情報を見比べて判断することが必要です。

当院のホームページ有用な方だと思いますが、やはり鵜呑みにすることは避けましょう。
全国精神科医療機関ホームページ集にあげたサイトは、情報の質は問わずに掲載していますので、慎重に判断して下さい。
その他のホームページ集には、比較的有用だと思われるものを乗せていますが、やはりその判断は慎重にして下さい。


精神科一般の情報を得るのに参考となる、公的機関のページとして比較的お勧めのものとしては、
東京都立精神保健福祉センター(下谷)をあげたいと思います。


英語が得意で勉強熱心な方には、
Internet Mental Health Mental health net
をおすすめします。
いろいろな情報が検索できます。

Q.
電話やE-mailでの相談を受け付けてもらえるところがありますか?
A.
近所にご存じの医療機関があれば、そちらに電話で問い合わせてみるのも一方でしょう。
しかし、対応の仕方は、医療機関によってかなりの差があると思われます。

比較的確実な対応をしていただけるのは、やはり、最寄りの保健所や精神保健福祉センターだと思います。
お住まいの都道府県の精神保健福祉センターに、最寄りの保健所を問い合わせるのが一番良いと思います。
いのちの電話でも無料の電話相談が受けられます。
●最寄りの精神保健福祉センターの電話番号はこちらを参照
●「いのちの電話」電話番号一覧はこちらを参照

医療機関によってはE-mailでの問い合わせを受け付けるところもあります。
また、掲示板形式の相談コーナーや、FAXを介した相談を行っているところもあるようです。
●精神科関連ホームページ集で最寄りの医療機関を探してみて下さい。
当院でも、時間の許す範囲内で、E-mailでのお問い合わせに応じています。●E-mailはこちら

Q.
精神科、神経科、心療内科等はどう違うのですか?
A.
よくある質問ですが、医療関係者の間でも定義が混乱しているようなので、少し詳しく説明します。

「精神科」と「神経科」はほとんど同じように使われることが多いようです。
並べて「精神神経科」とか「神経精神科」等と言うこともあります。
精神病や神経症など心の問題を医学的に扱うところです。
 人によっては、「神経科」を「神経内科」と同様の意味で使うこともあります。
 この場合には「こころの問題」を専門には扱いません。
 もともとは「神経科」が神経の問題や精神的な問題のすべてを扱っていました。
 昔は、外科的なことも、内科的なことも、すべて「神経科」でやっていたわけです。
 医学の進歩と共に、ここからまず「脳神経外科(脳外科)」が分かれました。
 以降、「神経科」で外科的なことは、やらなくなりました。
 やがて「神経内科」が分かれてできました。
 そこで「神経科」の中に残った分野が「精神科」となったわけです。
 この時点では「神経科」イコール「精神科」です。
 しかし「神経内科」が分かれたのが比較的新しいために、
 「神経科」に「神経内科」を含めて使う人がいるのです。
 また、「神経科」を「神経内科」の意味で使う人もいます。
 そういったわけで「神経科」という言葉は、やや曖昧な言葉です。
 誤解を避けるためには「神経科」という言葉を使わず、
 「精神科」という方がよいのではないかと思います。

 「脳神経外科」とか「神経内科」は心の問題を扱う科ではありません!

「心療内科」は元来内科の一分野で、内科の病気のうち、心理的な問題が関与するものを扱います(分かり易い例で言えば、「心理的ストレスで胃潰瘍になる」等)。
精神科医が診察に当たることもありますが、原則的には内科医です(「精神科」と標榜するより患者さんが受診しやすいという理由で精神科医が「心療内科」を掲げる場合もありますが・・・)。

「脳神経外科」とか「神経内科」は、心の問題を扱う科ではありません。

純粋に精神科的な心の問題であれば、「精神科」と標榜する医療機関への受診をおすすめします。

Q.
精神科医は、臨床心理士やカウンセラーとはどう違うの?
A.
簡単に言えば、精神科医は医者で、臨床心理士やカウンセラーは医者ではありません。

精神科医は医師免許を持っています。医師免許は国家資格であり、これなくしては精神科医であると名乗ることは出来ません。そして、体の病気がないかどうかの検査や、体の病気の治療も行います。また、精神疾患に対して、薬を投与する等の身体的な治療を行うことが出来ます。

臨床心理士やカウンセラーについては、今のところ、公的な資格制度はありません。したがって、誰が名乗っても違法ではありません。これらは、主として対話を手段として、問題の解決を図る職業です。薬を使うことは出来ません。
(「カウンセラー」には、「職業カウンセラー」とか「結婚カウンセラー」などのように、精神科・心理学的治療とは無関係のものもありますよね)

精神科的な診療というと、患者さんの話を聞いて、対話で「気持ちを楽にする」と考えていらっしゃる方が多いのですが、現実の精神科医療の現場では、その役割はごく一部です(気持ちを楽にしてあげるという点では、精神科に限らず、全ての医者がやるべき行為ではありますが・・・)。
精神科的診療は心身両面から検討しなければならないのです。
精神症状は、心理的な問題のみから生じるのではなく、身体的な要素がかなり含まれています。
ですから、身体的な診察も必要になりますし、薬物投与などの身体的な治療のウエイトも多いのです。
例)
うつ状態は、甲状腺機能低下症のような身体疾患で見られることもあります。
典型的なうつ病は、カウンセリングのみでは改善せず、抗うつ薬という薬を飲むことが必要です。

純粋に心理的な問題であれば、臨床心理士等に相談するほうが、有用であることがしばしばあります。
しかし、その見極めはかなりの困難を伴うことも多いので、まずは精神科にかかり、心理的治療・カウンセリングが適していると判断されてから、そちらに行くことをお勧めします。
あるいは、精神科的な治療のみでうまくいかない場合に、平行して利用すると良いこともあります。その場合には、主治医にも告げておくべきでしょう。
このページの、どうしたら精神科医になれますか?も参照して下さい。

Q.
どこに精神科があるのかわからない
A.
八千代病院の以下のページを参照して下さい!
精神科関連ホームページ集
千葉県内の精神科医療機関一覧

あるいは、各都道府県の精神保健福祉センター、保健所に電話で問い合わせるか、医療機関検索サイト一覧にあげたサイトで検索してみて下さい。

Q.
精神科へ行くのはちょっと抵抗があるんですけど・・・。
A.
精神病や精神科に対して、日本ではまだまだ偏見が強いのは事実ですね。
でも、あなたのそのこだわりが、あなたやあなたの家族を苦しめているのです。
こだわりを捨てて、すぐに受診してみてはどうですか?

Q.
精神科の医者や心理の人と話をすると、心を読まれるようで怖い
それは決してあり得ないことです!

人に心を読まれるのではないか、という恐怖感は誰にでも多少はあるものです。
しかし、人の心を読むと言うことは決して誰にもできません。
心理テストも、人の心がわかるわけではなく、ある程度の性格傾向がわかるだけのことです。

精神科医療にたずさわる者の役割は、人の心をわかる(読む)ことではなく、わかろうとすることだと思います。
人間は、自分の心を100%わかってもらう(読まれる)ことを望んではおらず、わかってくれそうな人とふれあいたいのだと思うのです。
我々の役割は、その気持ちに応えるだけです。

場合によっては、あなたの気持ちをくむ能力は低く、あなたのことを誤解しているかもしれません。
けれども、あなたのことを理解する努力はできると思います。
恐れることなく、どしどしご相談下さい。
お待ちしています。

Q.
保険証を使って精神科を受診すると会社にばれちゃう?
A.
原則的にはあり得ませんので、安心してかかって下さい!

「原則的に」と書いたのは、中には情報を漏らす不届きな輩がいるかもしれないということです。しかし、これは不法行為であり、罰せられるべき行為です。そういう事態はまずありえないと信じています。

同様に、自立支援医療(精神通院)制度についても、「役所に精神科にかかっていることを知られるのが怖い」という人がいますが、あまり心配しすぎずに権利を行使する方がよいと思います。

Q.
精神科へ入院するのは怖い。
A.
精神科へ入院するのをためらわれるのは、以下の理由が多いようです。
1. 入院して「変な人」と一緒に閉じこめられてしまうと、「気が狂ってしまうんではないか」と思う。
まず第一に、実際に入院してみると、そんなに「変な人」ばかりではありませんよ!
仮にあなたが、「変な人」と感じる人がいても、同じ人間同士ですから心配には及びません。
「入院したためにおかしくなってしまう・・・」なんてことは決してありません。
あなたの病気をよくするための入院ですから安心してください。
2. 入院したら二度とでられなくなるんではないかと思う。
そんなことは決してありません。
精神科への入院は、精神保健福祉法に基づき、人権に配慮して行われます。
病状がよくなったのに本人の意思を無視して入院させ続けることはあり得ません。
精神科では、本人の意志を最大限に尊重し、早期退院を目指しています。
入院してみると、ずいぶん長く入院している人がいて、驚いたり心配されるかもしれません。
病気がよくなるまでの期間は人それぞれですから、長期間入院生活をおくる人もいるでしょう。
しかし、短期間で退院する人の方が多いのですよ。
心配せずに入院しましょう。そのほうが早くよくなりますよ。  

Q.
患者の意志に反して入院させることがありますか?
A.
精神病院への入院は、「精神保健福祉法」という法律に則って行われます。
それによれば、精神病院への入院は本人の同意を得ることを原則としています。
患者さん自身の意思に基づいて入院・退院の手続きがとられる入院を「任意入院」と言います。

しかし、精神疾患の中には、患者さん自身の同意なしに治療する必要のある場合があります。

治療しないと、自分自身を傷つけるか、他人に害を及ぼすおそれのある場合、「措置入院」という入院形態がとられます。
これは、都道府県知事の命令を受けた「精神保健指定医」という資格のある医師2名以上が必要と認めた場合、患者さんや家族の同意がなくとも入院をさせることのできる制度です。
この場合の入院先は、措置入院のための病床のある病院でなければなりません。

措置入院の必要はなく、患者さん自身の同意もないけれども、入院の必要がある場合、「保護者」の同意に基づいて入院させる場合があり、これを「医療保護入院」と言います。
これには、精神保健指定医が入院の必要性を認めることと、保護者の同意が必要です。
ここで言う「保護者」の要件は、法律で決められており、原則的にはご家族の中のどなたかが保護者となります。

このように、場合によっては患者さんの意志に反して入院となることがありますが、その際は法律に従って入院手続きをとります。
入院の必要性もないのに、あるいは、上記の手続きをとらずに入院させると言うことはありません。

Q.
精神科治療中の恋人との結婚で迷っている。
こういった悩みのメールを結構頂きます。(恋人の親が精神障害者だという相談も含めて)

「迷っている」と言うことは、少なくとも相手のことを好きなのは間違いないのですね?
好きでないのであれば別れるべきです。おたがいが不幸になるだけです。
中には、悩みを聞かされているうちに、同情心から付き合い始める人もいます。よく考えてみて下さい。


迷う理由としては、以下のような理由があげられます。

1.何だかわからないけど不安。
病気のことがわからない以上、不安なのは当然です。
はっきりと診断名を聞き、どんな病気か調べてみましょう。
しかし、自分で調べるだけだとよけいに不安になることがあります。
恋人と一緒に主治医の先生に会いに行き、病気について説明してもらいましょう。


2.現在病気の症状が思わしくない。
病状はそのうち良くなるはずです。
病状が落ち着くまで保留し、その時点で考えましょう。
良くなるまで待てないのであれば、結婚はしない方がよいかもしれません。


3.今はよいが、将来病気が悪くなるのではないかと心配。
これは診断名とその人の病状によります。
主治医の先生に説明を求めるのが一番です。
大概の病気には何らかの予防法や、再発の徴候を早期に発見し治療に結びつけるコツがあるはずです。
そのあたりのことを主治医に聞いてみましょう


4.子どもに病気が遺伝するのではないかと不安。
明確な遺伝性が証明されている精神障害はほとんどありません。
どんな病気でも、子どもが同じような病気にかかりやすいと言う体質は遺伝するかもしれません。
だからといって、あらかじめ心配していてもあまり意味はありません。
精神病は遺伝しますかも参照して下さい。


5.家族や周囲の人に反対される。
反対される理由は上に挙げたことがほとんどです。上手に説得して下さい。
あくまでも反対される場合、あなたに「どんな状況に陥っても相手を支えられる」という自信がない限り、結婚は焦らない方がよいかもしれません。また、あなたを支持してくれる人を作っておくべきでしょう。


大切な点は、
1)正確な診断名を知ること
2)その病気の性質や注意すべき点を主治医に確認すること
3)あなたを支持してくれる人を見つけておくこと
です。
しかし、それ以上に、相手の方へのあなたの愛情の深さを考えるべきです。
病気があると言うだけで迷う程度では、結婚しない方がよいのかもしれませんし、
病気を割り引いてもあまりある魅力を感じるのであれば、迷わず結婚した方がよいのかもしれません。
どちらであるかを決められるのはあなただけです。

●参考までに精神障害があると結婚できないんじゃないかと心配もご覧になってみて下さい。

Q.
精神病は遺伝しますか?
A.
いわゆる遺伝病ではありません。

でも、ほとんど全ての病気と同じで、かかりやすい家系というのは確かにあります。
例えば、胃潰瘍になりやすい家系というのがあるでしょう?「お父さんも、おじいさんも胃潰瘍だった」というような。
それと似たようなもので、家族に精神病の人が多ければかかる可能性は高いけれども、少なければかかる人も少ない傾向にあります。
一般的に日本人の100人に一人は精神病だと言われています。親が精神病の場合、仮に、子供が精神病である確率が10人に一人だったとしても、大したことはないでしょう? 9割方は発病しないのですから。
親族全てが精神病でも、精神病になる確率は100%ではありません。

心配しすぎて精神的に不安になる方が問題ですよ!

Q.
精神病は完全に治りますか?
A.
症状が完全に良くなって二度と悪くならない人もいれば、残念ながら再発してしまう人もいます.。
完全には改善しない場合もあります。
しかし、いずれの場合でも治療を受ければ大概良くなります。
どんな病気でも、「治らないのではないか?」とくよくよ悩むよりは、「治る」と信じて治療に取り組むほうが得策だと思います。
また、「完全に良くしよう」と欲張って考えないほうが、よい結果を生むことが多いようです。

Q.
精神科にかかっていると、宗教に入れと誘われた。
A.
個々の宗教そのものの是非については何とも言えません。
苦しいときの心のよりどころにはなるでしょう。
覚えておいてほしいのは、「宗教は万能薬ではない」ということです。病気そのものを治してくれることはありません。
気持ちを楽にしてくれることはあるでしょうが、精神が強く病んでいるときにはかえって害となることもあります。

宗教はスポーツに例えることができます。
身体が健康なときには、日ごろスポーツに励むことで健康を維持することができます。軽い風邪ぐらいなら、体を動かすことでよくなることもあるかもしれません。でも、肺炎になったときは運動をするとかえって病気が悪くなり、命にかかわることもあるでしょう。安静を保つのが一番です。
精神的にも同様なことがいえます。
健全な精神状態のときや、軽く病んだ精神にとっては、宗教が心の糧となるでしょう。しかし、重い精神の障害のときには、かえって混乱の元となるだけです。ある程度落ち着いた時点で考慮されることをお勧めします。

Q.
親しい人が自殺したいという。
A.
自殺したい気持ちには、多くの人がなります。
その気持ちをあなたに告げたことに意味があるのです。
死にたい気持ちを語ると言うことは、助けてほしいと言うことなのです。
相手の言うことをさえぎったり、説得するような態度ではなく、謙虚に聞いてあげてください。

死ぬ手段まで考え、さらには、自殺の準備をしてしまったということがわかったら、精神科受診を勧めてください。
自殺未遂をしたことがあるのであれば、入院する方がよいでしょう。

死にたい気持ちそのものは正常ですが、実行に移すのはただごとではありません。
まず、「うつ状態」になっていると考えてください。
でも、その状態は精神科的な治療で改善するものなのです。

精神科受診に導き、自殺を防止できるのはあなたです。

自殺したいという人の話を聞いたら、決して自殺を実行しないと約束してもらってください。
死なないと約束できる人はある程度安心です。
しかし、自殺しないと約束できない人は決してそのままにしないでください。
あなたが目を離さないでいるか、家族なり、他の人に常に注意して見ていてもらってください。
そして精神科を受診させるべきです。

自殺はある程度防止可能なものです。


また、ある人がひどく沈み込んでいたら、自殺のことを考えていないか尋ねてください。
死にたいのだと言ったら、上の手続きを踏んでください。
沈んでいる人に自殺について聞くことをためらうことはありません。
話す勇気がない、あるいは、どう話していいかわからないのです。
話を聞いてあげてください。

自殺はある程度防止可能なものです。

Q.
親しい人が自殺してしまった。
A.
あなたは自分を責めてしまっているでしょう。
あるいは、周囲に自分を責めてしまっている人がいるでしょう。
誰かのせいにしたくなるかもしれませんね。
でもだれの責任でもありません。
誰かのせいにしても何の解決にもなりません。

上のコーナーで「自殺はある程度防止可能なものです」と書きました。
しかし、不幸にしてどうしても防止できないことがしばしばあるものです。

それよりも大事なことは、あなた自身の心の整理をつけることです。
一人でくよくよと考えていては、気が滅入るばかりです。
誰かと話をしましょう。
亡くなった人のこと、想い出、あなたの感じていることをどんどん話しましょう。

くよくよと悩んで、場合によってはあなた自身が自殺しようと思うかもしれません。
あるいは周囲にそういう人がいるかもしれません。

あなたにとって大事なことは、悲劇を繰り返さないことです。
新たな自殺者を出さないことです。
「自殺の連鎖」をくい止めましょう。

それが故人のためでもあります。

Q.
眠れない!
A.
「不眠だ」といって多くの方が外来に来られます。
たいていは、「睡眠薬を下さい」といわれます。
薬を出すのは簡単なことですが、それでは本当の治療とはいえないと思います。

「眠れない」という人たちの話を良く聞くと、以下のようなケースが多く見られます。

1.実際には眠れているのに眠れていると思っていない。
どうも、「毎日、一晩中目を覚まさず、夢を見ずに、寝なくてはいけない」と信じ込んでいる人が多いようです。
一月に何度か寝付けない日があるのは、多くの人が経験することです。
夜中に目が覚めるのもよくあることで、心配はいりません。
夢を見るのは全く正常で、よく寝ている証拠ともいえます。
「眠らなければいけない」とか、「寝られないのはおかしい」等と考え込まないことが大切です。

2.よく眠れなくて当然の生活習慣をとっている。
寝る時間や起きる時間が、日によってまちまち、あるいは、日中寝てしまう。
テレビやラジオをつけっぱなし、あるいは、明かりをつけたまま寝ている。
夕食以降に、コーヒー・お茶、あるいは過剰なアルコールを摂取する。
寝る前に興奮するような行動をとる(刺激的なビデオを見る、ゲームをする、喧嘩する、仕事の準備をする・・・)
上記に当てはまる人は、改める必要があるかもしれません。

以上1と2は、特に薬物に頼らなくても解決できる可能性のあるケースです。

中には、精神障害や身体疾患に基づく不眠の人もいるでしょう。
その場合は、基礎疾患の治療を行わなければ良くなりません。

また「眠れない」という症状にしても、
寝付きが悪い(入明障害)
途中で目が覚める(途中覚醒)
朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
人よりも寝る時間が遅く、目が覚めるのが遅い(睡眠覚醒リズムの障害の一種)
等、いろいろとあり、治療法も使われる薬物も若干違います。

「眠れないから睡眠薬」と、単純には決められないのです。
また、睡眠薬に依存しがちとなることも多いため、専門医の受診が望ましいと思います。

眠れないときは精神科を受診しましょう。

Q.
ストレスがたまる。
A.
まずはじめに、「ストレスは悪者」と決めつけないで下さい。
人生を楽しむために、適度のストレスは必要だからです。

ストレスは、サーフィンでいえば波のようなものです。
全く波がなければ「波乗り」はできません。
また、初心者のうちは小さな波でも楽しめますが、技術が向上すると、ある程度大きな波でないと楽しめないでしょう。
逆に、サーファーの技能を越えた大波は危険です。
無理にサーフィンをしようとしたり、あわてふためいていては溺れてしまいます。
大波がきたら、サーフボードにつかまって、冷静に波をやり過ごす必要があります。

ストレスを感じたら、そのストレスの大きさを自分の技量と見比べてみましょう。
大丈夫だと思ったら、乗り越える努力をしてみること。乗り越えられたら自分をほめましょう。
人生を楽しむためには、適度なストレスを自分から求めることも必要です。
逆に、過度のストレスを感じたら、それが過ぎ去るまでじっと待ちましょう。
その場合は、あせってストレスから逃げようとせず、冷静にやり過ごすことが大切です。

Q.
どうしたら精神科医になれますか?
精神科医は普通の医者と違った、特殊な職業だと思っている人がいるようです。
しかし、精神科医も普通の「医師」という職業のひとつです。
ですから、精神科医になるためには、まず、大学の医学部に入る必要があります。
6年かけて卒業し、医師国家試験に合格して(医師免許を取得して)、初めて医師となる資格ができます。
その後、精神科を含む研修を経て精神科医になるわけです。
精神科医も精神科以外の医学一般を学ばなければなれないのです。

ちなみに、精神科医の中には「精神保健指定医」という国家資格があります。
これは、精神保健福祉法という法律にのっとった業務を行うために必要な資格で、一定以上の経験を積んだ精神科医が、所定のレポート提出や研修会参加を経て取得するものです。
精神保健指定の資格を持っていれば、ある程度以上の経験のある精神科医であることがわかります(名医かどうかは別問題!)。
精神科の病院には定まった人数以上の精神保健指定医が必要です。

Q.
精神保健福祉法について知りたい。
正式名称を「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」といいます。
精神科医療は、この法律に則って行われなければなりません。
最近改訂され、平成12年4月と平成14年4月の2段階に分けて施行されます。
法律の詳細は、国立療養所加茂病院の該当ページや、日精協の該当ページ日精看の該当ページを参照してみて下さい。
日精看のページには運用マニュアルやQ and Aもあります。

Q.
精神障害者保健福祉手帳のメリットは?
精神障害のために、日常生活に一定以上の制約のある人は、居住地を管轄する市町村役場等に申請することで、この手帳を取得することが可能です。

この手帳により、以下の制度が利用できます。
(1)税制上の控除等
 a)所得税の障害者控除
 b)住民税の障害者控除
 c)相続税の障害者控除
 d)贈与税の非課税
 e)利子等の非課税
 f)自動車税、軽自動車税、自動車取得税の減免
 以上についての詳細は、保健所や税務署に問い合わせてみて下さい。
(2)各種施設・交通機関等の割引
 これは地域により大幅に異なります。

NTTでは無料番号案内(ふれあい案内)が利用できます(手数の割に、どれだけ有用だか疑問ですが・・・)
問い合わせ先は、0120−104174(9時から17時) です。

この他にも、地域によっていろいろなメリットがあります。
詳しくは、全家連(ぜんかれん)のホームページの、
精神障害者保健福祉手帳サービス自治体別一覧、および、
精神障害者保健福祉手帳サービス内容別一覧を参考にして下さい。

千葉県内の情報は、当院のホームページの、
千葉県内で精神障害者保健福祉手帳の利用が可能なサービスの一覧
を参照して下さい。
千葉県内の手帳の申請場所については手帳・自立支援医療(精神通院)等申請窓口をご覧ください。

まだまだメリットは少ないようですが、今後の発展に期待しましょう。
あちこちに働きかけていく必要がありそうです。
(2006/09/30一部改訂)

Q.
春になると精神的に不安定になるって本当?
精神疾患の中で、明らかに季節と関係があるものに、季節性うつ病というのがあります。
これは冬になると(日照時間が少ないと)うつ病になるものです。
その他には、明らかに季節と関連した精神障害が認められているわけではありません。
患者さんの中には一定した季節に不調を来す方がいらっしゃいますが、病名として確立してはいません。

しかし、季節の変わり目は心身共に不安定になりやすいのは事実のようです。
たとえば、統合失調症の入院は、6−7月に多いという統計があります。
春先に具合が悪くなり始め、初夏に入院となるのではないかと推測されます。

春先は、気候の変わり目で身体的なストレスがかかる時期であると共に、進級、進学、異動、転居など社会的なストレスにもさらされる時期です。
精神的にも身体的にも不調を感じたら早めの対処を取る方がよいでしょう。

●季節とは別に、いろいろな周期で精神的な不調の出現することがあります。
・典型的なうつ病では、朝方に具合が悪く、夕方には調子が良くなると言った「日内変動」を示すことがあります。
・女性の場合、月経周期に一致して精神不調を来す方がいらっしゃいます。少なからぬ数の女性が、月経前になると心身の不調を訴え、「月経前症候群」と診断されます。

動物のもつさまざまな周期的活動を研究する分野として「時間生物学」というのがあります。
興味のある人は、日本時間生物学会のサイトをのぞいてみてください。


2001/03/05

Q. 
知人が精神科に入院しているのですが面会できますか?
患者さんの同意に基づく入院(任意入院と言います)で、患者さんご自身が希望しているのであれば、原則的に面会は可能です。しかし、病状によっては面会が制限されている場合もあります。
患者さんの同意に基づかない入院の場合(病状によってはこういうこともあり得ます)には、面会が制限されている可能性があります。家族や特定の人にのみ面会が許可されることもあります。

患者さんご本人からの要望があり、面会が可能なときのみ、面会に行かれるべきです。

面会が可能な状態かどうかのご質問は、病院に直接問い合わせて頂いても、患者さんのプライバシーを守るために、お答えしない場合があります。
面会が出来るかどうかを、あらかじめご家族に問い合わせて頂くのが一番良いと思います。
ご家族がいらっしゃらない場合には、ご本人に手紙を出して聞いてみてください。

面会が可能であるようなら、病院に面会方法を問い合わせてみて下さい。

Q.
血液型と性格の関係は?
血液型と性格の関連性については精神医学的には完全に否定されています。
「血液型性格学」は、1930年台と1970-1980年代に、日本でのみ、ブームになった一種の占いみたいなものです。
科学的には完全に否定されているのですが、マスコミの安易な悪のりでいつまでも広まっています。
このように、個人に、根拠なくレッテル貼りをすることには、さまざまな危険を伴うので、私は反対の立場です。

単なるお遊びとして、軽いノリの話ですめばよいと思います。
しかし、「あの人はA型だからこうに違いない」とか、「私はB型だからこうだ」といった思いこみは、個人の性格を客観的に判断するための障害となります。
血液型性格学を信じ込むと、次第にそれに合わせた行動パターンを取りやすくなるという説もあります。

繰り返しますが、「血液型性格学」や「動物占い」のような、非論理的な類型化は、「あの人は精神病だから・・・」、「あの人は外国人だから・・・」、「男だから・・・」、「女だから・・・」というのと同じで、偏見や差別のもとになる考え方だと思います。

「血液型と発病のしやすさ」に関しては、血液型性格学が信じられていないこともあり、研究はされていません(おそらく・・・)。調べてみれば、統計的には何か答えが出るかもしれませんが・・・

Q.
覚せい剤を使ったことがあるけど、精神科に行ったら通報される?
答えを先に書きます。
原則的に通報はしません

まず法律的な話をしておきます。
「麻薬および向精神薬取締法」という法律では、麻薬、大麻、アヘンの慢性中毒者を発見した場合、医師は都道府県知事(警察ではありません)に届け出る義務があるとされています。その他の向精神薬、覚醒剤、有機溶剤等については届け出義務の規定はありません。麻薬であっても中毒状態でなければ通報の義務はありません、
これとは別に、刑法や精神保健福祉法では、医師の「守秘義務」が規定されています。これは、診療場面で知り得た患者の秘密を正当な理由なくして漏らしてはいけない というものです。
以上の法律の範囲内で、どのような行動をとるかは、医師の裁量に任されていることになります。

医療機関は病気を治療するところですから、例え違法行為を行っている人が治療を受けに来たとしても、そのことで警察等に通報することは原則的にありません。ここで原則的にと書いたのは、放置することで他者に危害が及ぶ可能性がある場合は別だからです。たいていの場合には治療を優先しますが、薬物による精神病状態等で、そのまま放置すれば他者に危害を加える可能性が高い場合には警察等に通報する場合があります。

あなたが、精神的に不安定で覚醒剤等の違法薬物に手を出してしまった場合や、それらの薬物を使用したために精神状態が不安定になっている場合は、よけいなことを考えずに、早急に精神科を受診して下さい。

2001/02/08

Q.
精神保健福祉士(PSW)って何?
「精神保健福祉士」は、1997年12月に公布された「精神保健福祉士法」に基づいた国家資格です。
従来より精神科ソーシャル・ワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)と呼ばれてきた職種にあたります。
精神科医療・福祉の現場では、ケースワーカーとか、簡略にワーカーと呼ばれることもあります。
  ソーシャルワーカー(ケースワーカー)には精神科以外にも、
医療一般の現場では、医療ソーシャルワーカー(MSW)(現在のところ国家資格化はされていない)、
福祉の現場では、社会福祉士(1987年国家資格化)、
と呼ばれる職があります。

業務は、簡単に言えば「精神障害者の受療・社会復帰の援助」です。
  法文によれば「精神病院その他の医療施設において精神障害の治療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を計ることを目的とする施設を利用している者」の「社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行う」こととなっています。
具体的には、病院内では、
未受診の患者・家族から相談を受けた際、受診が必要と判断されれば、適切な情報を提供し受診につなげる、
入院・通院中の患者が療養しやすい環境を整えるため、家族や患者を取り巻く環境の調整をはかる、
経済的問題を抱えているときには、福祉・保険制度等が十分に活用できるよう援助する、
金銭管理、身辺処理とうの日常生活能力の指導・訓練、
等々さまざまな援助業務があります。

PSWの職場は、
精神科医療機関(精神科病院・診療所、精神保健福祉センター、保健所等)や、
精神障害者社会復帰施設(精神障害者小規模作業所・デイケア・授産施設・福祉ホーム・グループホーム等)、
です。

現在のところ、医療機関には精神保健福祉士の必置義務(有資格者を置かなければならない)がないため、求人の数や待遇面では他の医療職に比べて充実しているとは言い難いかもしれません。今後の課題と言えます。
しかし、意欲的に資格を取ろうとしている若く優秀な方が大勢いらっしゃるので、将来が頼もしい限りです。

下記サイトも参考にしてみてください。
日本精神保健福祉士協会
精神保健福祉・精神障害者福祉に関するホームページ

2005/06/18

Q.
精神病だと犯罪を行っても無罪なんですか?
A.
精神障害者の犯罪が報道される度に(過剰報道のようにも思えますが・・・)こういうことをよくきかれます。
結論から言えば、そうとは限りません。

幻覚や妄想に支配された行動、善悪の判断が付かなかったり、自分の行動を抑えられない状態であれば、罪を問われない可能性が高いです。
 
刑法では「心神喪失者(しんしんそうしつしゃ)の行為は、罰しない。心神耗弱者(しんしんこうじゃくしゃ)の行為は、その刑を減軽する」となっています。
自分の行為の善悪を判断する能力(責任能力)が全くないとされれば無罪、著しく劣っていると考えられれば減刑されると言うことです。

しかし、精神病症状があっても、自分の行っている行動の善悪がわかっている場合には、精神病であっても罪を問われなければならないでしょう。

明らかな精神病状態によって犯罪を犯した場合、必要とされれば(つまり、精神障害のために「自傷他害」のおそれがあり、判断能力がないと判断されれば)、精神保健福祉法に基づき、「措置入院」という強制的な入院を命ぜられます。

精神病であっても、自分の行為の善悪を判断する能力があると考えられる場合には裁判を受けさせるべきです。
また、犯罪を犯した場合、判断能力の有無の判定は、本来、裁判の中で決定されるべき者かもしれません。

Q.
「精神鑑定」って何?
精神科医療関係者が「精神鑑定」という場合、以下の3つのケースがあります。
1.刑事精神鑑定
2.民事精神鑑定
3.精神保健福祉法に基づく指定医の診察

1.刑事精神鑑定
刑事訴訟法に基づく鑑定です。犯罪を犯した者について「精神鑑定」と言う場合はこれを指します。
一般に、犯罪を犯した者は裁判を受け、刑罰の対象となります。
しかし、刑法では「心神喪失者(しんしんそうしつしゃ)の行為は、罰しない。心神耗弱者(しんしんこうじゃくしゃ)の行為は、その刑を減軽する」となっています。
責任能力が全くないとされれば無罪、著しく劣っていると考えられれば減刑されると言うことです。
責任能力の有無を判定する根拠となる診察を「刑事精神鑑定」といいます。
このうち、
起訴前に検察官の委託により行われる鑑定を「起訴前鑑定」と言います。
 起訴前鑑定のうち、裁判所の許可状を要さないものを「簡易鑑定」、要するものを「本鑑定」といいます。
起訴後に裁判所の委託により行われる鑑定は「公判鑑定」と言います。

2.民事精神鑑定
犯罪を犯さなくとも判断能力が問題とされることがあります。
それは、主として金銭のやりとりが絡むときです。
判断能力の低下している人は、充分に契約内容を理解せずに金銭のやりとりをしてしまうかもしれません。
このような状況から、判断能力の傷害されている成人を保護するための民法上の制度を「成年後見制度」といいます。
以前は禁治産・準禁治産制度と言ったもので、2000年4月に改正・実施されるようになったものです。
それによれば、以下の3つの類型分けがなされます。
判断能力が全くない:後見類型(以前の禁治産)
判断能力が著しく不十分:補佐類型(以前の準禁治産)
判断能力が不十分:補佐類型(新設)
どの類型に分類されるかを決定する根拠となる診察を、ここでは「精神鑑定」と言います。
精神鑑定は家庭裁判所の命令に基づいて行われます。

3.精神保健福祉法に基づく精神保健指定医の診察
法律上は「精神鑑定」という言葉を用いていませんが、以前の法律では精神保健指定医のことを精神衛生鑑定医と呼んだため、そのなごりで、現在でも「鑑定」とよばれています。
これは、精神障害の可能性のある者に対し、都道府県知事の命令により、精神保健指定医という資格のある医師が行う診察です。
この診察により、「自傷他害のおそれがある」と判断された者は「措置入院」という強制的な入院をしなければなりません。
「自傷他害の恐れ」とは、治療をしないと他者に損害を与えたり、自分を傷つける可能性があると言うことです。


以上の3つのケースでは、全て「鑑定」という言葉が使われていますが、その内容は全く違っていることに注意してください。
1は刑事責任が問えるかどうかの判断をするものです。
2は契約行為が出来るかどうかの判断をするものです。
3は精神科的治療を受けさせる必要があるかどうかを、「自傷他害の恐れ」という観点から判断するものです。
1と2では、医師は鑑定をするだけで、責任能力・判断能力の有無を決定するのは司法の役割です。
3では医師は措置入院の必要があるかどうかの判定をしますが、入院命令を出すのは都道府県知事です。

良くマスコミで、「犯罪者が鑑定を受け措置入院となった」という、安易な表現を見かけますが、この場合、「刑事鑑定を経て責任能力なしとされたため、起訴されず(あるいは無罪となり)、精神保健福祉法による指定医の診察を受けた上で措置入院となった」等と言うのが正しい表現です。

2001/06/15

Q.
「ストーカー」にはどう対処すべきでしょう?
ストーカーという言葉はすっかり定着してしまったようです。
見も知らぬ人はもとより、知人であっても、執拗につきまとわれるのは不愉快である以上に恐怖を伴うものでしょう。

精神科医として、時々、「ストーカーは精神病や精神障害か?」と聞かれることがあります。
彼らの一部は精神病かもしれません。
その場合には精神科的な治療が不可欠です。
しかし、殆どの場合には精神病ではないはずです。
性格的には行動が正常範囲を脱しており、そういう意味では「精神障害」といえるかもしれません。
しかし、その殆どは精神科的治療の範囲外といえます。

不幸にしてストーカー行為の被害者となってしまった場合にすべきことは、まず、全ての接触を断つことでしょう。
「あと一回だけ会いたい、電話で話したい」といった要求に応ずることは、事態を長引かせるだけです。
電話番号の変更、転居等も必要かもしれません。
ストーカー行為のおそれがなくなるまでは単独行動をさける方が無難かもしれません。
何か交渉が必要であれば、必ず、誰かに付き添ってもらうべきです。

相手が精神病である可能性が高い場合には、地域の保健所に連絡を取りましょう。

場合によっては警察に通報し、「ストーカー規制法」に基づいて対処してもらう必要があるかもしれません。

とにかく、一人で悩まず、周囲の人や、公的機関等協力してもらえるものは全て利用して対処に当たるのがよいと思います。

右のページも参照してください。ストーカー規制法の制定について警察庁

2001/08/27

このページの文責、著作権は八千代病院精神科医 長谷川雅彦に属します。

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