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八千代メンタルクリニック

向精神薬の副作用の話

授乳への影響
産褥期(出産後)の投薬と授乳の問題はとても悩ましい問題です。
 特に、産褥期はうつ病の好発時期(産褥期うつ病と言います)で、薬物投与が必要になることがしばしばあります。
乳児に悪影響が出るようでは授乳できませんし、授乳できない場合には子供・母子関係に対する影響を考慮する必要があります。
日本の添付文書では、殆どの場合に「投薬中の授乳は中止させる、あるいは、避ける」事になっています。
ですから、授乳婦には投薬できないか、投薬中は授乳できないことになります。
しかし、欧米では、授乳中にもある程度投薬可能だと判断している場合があります。
授乳の重要性をどうとらえるかによるのでしょう。
下の表に、ネット上で得られるいくつかの情報をまとめてみました。

子供の状態によっても安全性の判断は異なります。
子供の小児科主治医と十分に意見交換をしながら判断することが大切でしょう。
自己判断で授乳することなく、必ず専門医の指示を仰いでください。
参考サイト
授乳と薬について(妊娠と薬情報センター):授乳と薬についての解説と、使用可・不可薬の一覧
LactMed(薬物母乳移行性データ・臨床データベース):薬剤名でデータを検索可(英文)
米国小児科学会の見解>薬物に関する項目はここ(英文)
投薬と授乳の可否(この表では経口薬についてのみ記載しています)

抗精神病薬
日本の添付文書での記載 授乳中は授乳を中止させる
チオリダジン(メレリル)、ブロムペリドール(インプロメン)、ハロペリドール(セレネース)、チミペロン(トロペロン)、リスペリドン(リスパダール)、ペロスピロン(ルーラン)、オランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セロクエル)、モサプラミン(クレミン)
授乳中は授乳を避けさせる
プロクロルペラジン(ノバミン)、ネモナプリド(エミレース)、スルピリド(ドグマチール)、スルトプリド(バルネチール)、ゾテピン(ロドピン)
授乳中の婦人には投与しないことが望ましい
クロルプロマジン(コントミン)、レボメプロマジン(レボトミン)、ペルフェナジン(ピーゼットシー)、トリフロペラジン、フロロピパミド(プロピタン)、モペロン(ルバトレン)、スピペロン(スピロピタン)
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること
ピモジド(オーラップ)
授乳との関連性に関する記載無し
(注:記載がないことは、必ずしも安全だと言うことを意味しません!)
フルフェナジン(フルメジン)、プロペリシアジン(ニューレプチル)、カルピプラミン(デフェクトン)、クロカプラミン(クロフェクトン)、オキシペルチン(ホーリット)

UKMicentral
英国ナショナルヘルスサービス
授乳婦への投与は不適切
 ●:重大な有害作用が報告されている
 ▲:理論上重大な有害作用の起こる可能性あり

母子共に常にモニターされている場合のみ投与可
 ○:軽微な有害作用が報告されている。
 ?:安全だと宣言できるだけの十分な情報がない
 △:理論上軽微な有害作用の起こる可能性あり
○フェノチアジン系(例:クロルプロマジン、フルフェナジン)
△スルピリド
授乳しても良い
 V:乳汁中に分泌されないか、乳児に吸収されない
 *:有害作用の報告があるが、おそらく臨床上重要ではない


Brest Feeding And Maternal Medication
(WHO)
可能なら授乳を避ける。
乳児の観察を要す。
クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール


気分安定薬
日本の添付文書での記載 授乳中は授乳を中止させる
炭酸リチウム(リーマス)
授乳中は授乳を避けさせる
バルプロ酸(デパケン)
授乳中の婦人には投与しないことが望ましい

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること
カルバマゼピン(テグレトール)
授乳との関連性に関する記載無し
(注:記載がないことは、必ずしも安全だと言うことを意味しません!)


UKMicentral
英国ナショナルヘルスサービス
授乳婦への投与は不適切
 ●:重大な有害作用が報告されている
 ▲:理論上重大な有害作用の起こる可能性あり
●炭酸リチウム(リーマス)
母子共に常にモニターされている場合のみ投与可
 ○:軽微な有害作用が報告されている。
 ?:安全だと宣言できるだけの十分な情報がない
 △:理論上軽微な有害作用の起こる可能性あり
?バルプロ酸(高容量)
授乳しても良い
 V:乳汁中に分泌されないか、乳児に吸収されない
 *:有害作用の報告があるが、おそらく臨床上重要ではない
Vバルプロ酸(低容量)
*カルバマゼピン(テグレトール)

Brest Feeding And Maternal Medication
(WHO)
可能なら授乳を避ける
乳児の観察を要す
炭酸リチウム
授乳しても良いが、乳児の観察を要す カルバマゼピン、バルプロ酸


抗うつ薬
日本の添付文書での記載 授乳中は授乳を中止させる
アミトリプチリン(トリプタノール)、ドスレピン(プロチアデン)、
授乳中は授乳を避けさせる
フルボキサミン(ルボックス)、パロキセチン(パキシル)、イミプラミン(トフラニール)、クロミプラミン(アナフラニール)、マプロチリン(ルジオミール)、ミアンセリン(テトラミド)、セチプチリン(テシプール)、ミルナシプラン(トレドミン)、トラゾドン(レスリン)
授乳中の婦人には投与しないことが望ましい

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること
アモキサピン(アモキサン)
授乳との関連性に関する記載無し
(注:記載がないことは、必ずしも安全だと言うことを意味しません!)
ノルトリプチリン(ノリトレン)、ロフェプラミン(アンプリット)、トリミプラミン(スルモンチール)

UKMicentral
英国ナショナルヘルスサービス
授乳婦への投与は不適切
 ●:重大な有害作用が報告されている
 ▲:理論上重大な有害作用の起こる可能性あり

母子共に常にモニターされている場合のみ投与可
 ○:軽微な有害作用が報告されている。
 ?:安全だと宣言できるだけの十分な情報がない
 △:理論上軽微な有害作用の起こる可能性あり
?SSRI(例:パロキセチン、フルボキサミン)
授乳しても良い
 V:乳汁中に分泌されないか、乳児に吸収されない
 *:有害作用の報告があるが、おそらく臨床上重要ではない
V三環系抗うつ薬(短期間の通常量の投与)
別表
投与不可 フルオキセチン、シタロプラム
疑問あり 三環系抗うつ薬(鎮静作用のあるもの、例:アミトリプチリン)
投与可 フルボキサミン、パロキセチン
三環系抗うつ薬(鎮静作用のないものの短期間の使用、例:イミプラミン、ノルトリプチリン)

Brest Feeding And Maternal Medication
(WHO)
150mgまでの使用なら授乳可能 アミトリプチリン


抗不安薬
催眠薬
日本の添付文書での記載 授乳中は授乳を中止けさせる

授乳中は授乳を避けさせる
タンドスピロン(セディール)

ゾピクロン(アモバン)、ゾルピデム(マイスリー)
(新生児に嗜眠を起こす可能性がある)

その他のベンゾジアゼピン系薬物はここです
(ヒト母乳中に移行し、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが、他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されており、また黄疸を増強する可能性がある)
授乳中の婦人には投与しないことが望ましい

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること

授乳との関連性に関する記載無し
(注:記載がないことは、必ずしも安全だと言うことを意味しません!)


UKMicentral
英国ナショナルヘルスサービス
授乳婦への投与は不適切
 ●:重大な有害作用が報告されている
 ▲:理論上重大な有害作用の起こる可能性あり

母子共に常にモニターされている場合のみ投与可
 ○:軽微な有害作用が報告されている。
 ?:安全だと宣言できるだけの十分な情報がない
 △:理論上軽微な有害作用の起こる可能性あり
○ベンゾジアゼピン(高用量:ベンゾジアゼピン換算10mg/日超)
授乳しても良い
 V:乳汁中に分泌されないか、乳児に吸収されない
 *:有害作用の報告があるが、おそらく臨床上重要ではない
Vベンゾジアゼピン(低容量:ベンゾジアゼピン換算10mg/日未満、または短時間作用型催眠薬)

Brest Feeding And Maternal Medication
(WHO)
一回の使用は可能、繰り返して使用することは避け要観察 ジアゼパム
(短時間作用型のベンゾジアゼピンが適当)


抗てんかん薬
日本の添付文書での記載 授乳中は授乳を中止させる
授乳中は授乳を避けさせる
バルプロ酸(デパケン)、エトスクシミド(エピレオプチマル)、フェノバルビタール(フェノバール)

クロナゼパム(ランドセン):新生児において無呼吸をおこすことが、また、新生児の黄疸を増強する可能性がある。他のベンゾジアゼピン系化合物で、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが報告されている
授乳中の婦人には投与しないことが望ましい

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること
カルバマゼピン(テグレトール)
授乳との関連性に関する記載無し・その他
(注:記載がないことは、必ずしも安全だと言うことを意味しません!)
フェニトイン(アレビアチン)

プリミドン(乳児に過度の眠気を起こすおそれがある)

UKMicentral
英国ナショナルヘルスサービス
授乳婦への投与は不適切
 ●:重大な有害作用が報告されている
 ▲:理論上重大な有害作用の起こる可能性あり

母子共に常にモニターされている場合のみ投与可
 ○:軽微な有害作用が報告されている。
 ?:安全だと宣言できるだけの十分な情報がない
 △:理論上軽微な有害作用の起こる可能性あり
○フェノバルビタール、フェニトイン
?バルプロ酸(高用量)
授乳しても良い
 V:乳汁中に分泌されないか、乳児に吸収されない
 *:有害作用の報告があるが、おそらく臨床上重要ではない
Vエトスクシミド、バルプロ酸(低容量)
*カルバマゼピン
別表
投与不可 フェノバルビタール、プリミドン、クロナゼパム
疑問あり フェニトイン
投与可 カルバマゼピン、バルプロ酸

Brest Feeding And Maternal Medication
(WHO)
可能なら授乳を避ける
乳児の観察を要す
エトスクシミド
授乳しても良いが、乳児の観察を要す カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン、バルプロ酸
授乳しても良い クロナゼパム

2008/07/16一部改訂
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