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八千代メンタルクリニック

精神科で扱う精神障害の話

痴呆症
脳の障害により、一度獲得された知能が低下してしまった状態を痴呆症といいます。
伝統的な痴呆の定義では「不可逆的な(つまり、治療しても軽くならない)知能の低下」でしたが、DSM-IVのような新しい考え方では、不可逆性かどうかは問いません。
知能の獲得の障害は精神発育遅滞(知的障害)です。
原因となる疾患
脳器質性精神障害の項目で挙げたあらゆる疾患が痴呆症の原因となり得ます。
脳の機能低下を起こせば痴呆症となり得るからです。
脳神経外科・神経内科領域では、脳炎や頭部外傷・脳外科手術等の後遺症としての痴呆症がしばしば問題となります。
しかし、一般的に「痴呆症」という場合には変性疾患によるものと、脳血管障害によるものを指すことがほとんどでしょう。
症状
痴呆症の主たる症状は、精神科で扱う症状の話で取り上げた知能の障害です。
おおざっぱにまとめると以下のようになります。
記憶の障害 軽いと単なる物忘れ。特に新しいことが覚えられない。
進行すると、失見当識(日時、場所、人が分からなくなる)、作話(忘れたことを補う)を認め、場合によっては二次的な被害妄想(財布を置き忘れ、「盗まれた」と言う等)を示すことがある。
言語の障害 軽いと人・物の名前が思い出せない程度。
進行すると、聞いたり読んだりして理解することができなくなる。スムーズに喋れなくなる。
重度では、反響言語(話しかけられたことをおうむ返しで繰り返す)、同語反復(同じ言葉を繰り返す)、語間代(言葉の語尾を繰り返す)等の独特の症状を呈す。
さらに、意味不明の言葉を喋ったり、全く喋らなくなる。
認知能力の障害 見たり、さわったりしたものが何であるか分からない。左右が分からない。
作業能力の障害 簡単な図形がかけなくなる。料理、更衣、洗面等が上手にできなくなる。
新しい環境に適応できず、新しいことや複雑なことをやるのをいやがる。
人格変化 怒りっぽい、涙もろい、疑い深い、自発性に乏しい、衝動的、妙に機嫌が良い、妙になれなれしいetc.
元来の性格傾向がさらにひどくなる(人格の先鋭化といいます)(温厚な人はますます温厚に、ケチな人はさらにケチに、怒りっぽい人はますます怒りっぽく)
その他の随伴症状 心気症(些細な身体の不調にこだわる)
躁状態(妙に元気)
うつ状態(時に自殺)
幻覚妄想状態
せん妄状態

治療
脳器質性精神障害の治療の原則は、原疾患の治療です。
しかし、いったん痴呆症が進行してしまうと、改善する手だてはほとんどの場合ありません。
進行を防止・遅らせることのが可能な場合がありますので、早期発見・早期治療に結びつけるのが原則です。

正常圧水頭症のように外科的な治療で症状が改善するものもあるので、原因を確定することはとても大切です。
最近は、アルツハイマー型痴呆では進行を遅らせる薬がしばしば使われます(痴呆症治療薬薬)。これも、痴呆進行の初期段階で有効なので、早期に治療開始することが大切です。

痴呆症に付随する症状、たとえば、せん妄状態に対しては、対処法がある程度確立しています。
幻覚妄想状態、躁状態うつ状態に対しても対症療法的に治療が行われます。
このページの文責、著作権は八千代病院/八千代メンタルクリニック精神科医 長谷川雅彦に属します
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